
SAIL法(立体整列同位体標識法;Stereo-Array Isotope Labeling Method)とは、東京都立大学の甲斐荘教授の長年にわたる安定同位体利用NMR技術開発の経験と蓄積の上に開発された、独創的なタンパク質構造解析のためのNMR技術です。この技術は、タンパク質中のアミノ酸残基に含まれる全ての原子を対象に構造決定上必要不可欠な部位のみを高度選択的に2H,13C,15N-三重標識するという独創技術を基盤とした新技術です。このような構造解析用に注意深く設計されたSAILタンパク質を用いることにより、これまで用いられてきた13C,15N-均一二重標識タンパク質等と比較し、遥かに容易且つ迅速に、従来の2倍を超える高分子量タンパク質の高精度立体構造決定が可能となります。

SAILタンパク質調製には、高度選択的に2H,13C,15N-三重標識されたSAILアミノ酸を用いて、無細胞タンパク質合成系など、アミノ酸代謝を厳密に制御したタンパク質調製法を利用します。
得られたSAILタンパク質を利用すれば、従来のNMR測定・解析技術を用いても遥かに容易に精密な構造決定が可能となりますが、更にSAIL法の特徴を十分に活かすことにより、従来は不可能であった高分子量タンパク質の精密な立体構造決定が、研究者の手を煩わせることなく、自動的に可能となるのです。このため、得られる立体構造の付加価値が高まるだけでなく、構造決定に要する期間、コストの大幅削減につながります。
半年間かかっていた構造解析を最短2週間という早さで行え、NMR測定から解析までの時間が従来と比べ約10〜100倍に向上します。
CYANAを用いた自働構造解析により、経験の浅い研究員でも解析が可能になり、作業の平準化が図れます。
タンパク質の活性部位などの局所構造を詳細に調べることが可能です。

困難だった高分子量タンパク質の測定が従来の2倍以上、分子量の範囲が25kDaから50kDaへと拡大します。
